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過去を振り返り参照することで、今後のファッションの方向を探ろうとする展覧会が相次いで始まった。その一つは、京都で開催中のラグジュアリーを切り口にした5世紀にわたる服飾品展。一方、東京では近過去の前衛アントワープ派の作品に焦点を当てている。デザイナーの創造性や職人技をたどる二つの催しで、服飾の文化と歴史を体感してみてはいかが。 ファッションは、なぜラグジュアリーを渇望し、常に密接な関係を保ってきたのか。京都国立近代美術館で開催中の「ラグジュアリーファッションの欲望」展は、17世紀から現代までの服飾品を「ぜいたく」という視点で見直す試みだ。 展覧会を企画した京都服飾文化研究財団の深井晃子チーフ・キュレーターは「深まる不況の中でコスト削減や低価格化が進み、手仕事への尊敬や人々のファッションへの興味が減退している。そんな危機感から、過去の『最高の物』を開示して新たな時代に向けた豊かさを考えるヒントにしたかった」と語る。 そんな意図からか、4部構成で83点の展示作はそれぞれが澄んだ照明に浮かぶだけ。だが、かえって服や細部に目が向かう。 1600年ごろに英エリザベス1世に献上されたというボディス(胴着)は、銀糸の全面刺繍(ししゅう)の上にバラや豆、毛虫、鳥などの動植物が様々な技法でひしめき合っている。イヴ・サンローランの67年のアフリカンドレスには、飾りの小さな貝殻のすき間にも砂粒のようにびっしりとビーズが詰めてある。約5千匹の玉虫の羽を留めたドレスも。 上質で機能的なシャネルのアンサンブル、三宅一生やバレンシアガの造形性の高い服、着る人との知的な駆け引きを引き出した川久保玲の服など現代のラグジュアリーに結びつく手技による服も展示されている。 いずれも、より個人的で遊びに近いぜいたくさを求める情熱が、優れた職人技を育て産業を発展させてきたことを実感させる。立教大学大学院の北山晴一教授は「ラグジュアリーの本質は、金銭や時間、情報や技術など様々な次元での投資の結晶。平等社会が求められる一方で、それに魅了されてしまうのは、我々は何かに情熱を傾けないと生きていく喜びを失うからだ」と分析する。 5月24日まで。10月末からは東京都現代美術館でも開催する予定。(編集委員・高橋牧子、柏木友紀)





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